uの芸術鑑賞日記

コンサートや美術展で思ったことを備忘録として。

ワーグナー『ニーベルングの指環』ガラ・コンサート2024/04/07東京文化会館

指揮 マレク・ヤノフスキ
管弦楽 NHK交響楽団
ゲスト・コンサートマスター ヴォルフガング・ヘントリヒ

満開の上野で、中の客席もほぼ満席。

トリスタンとイゾルデに出ていた中ではバリトンマルクス・アイヒェが参加。
テノールはヴィンセント・ヴォルフシュタイナー。ソプラノはエレーナ・パンクトラヴァ。
歌手陣は特別素晴らしいというわけではなかったけれど、それでも聴かせるのは指揮者の力だと思う。マレク・ヤノフスキ、御年85歳。手の動きもなめらかで、音楽が終わる瞬間まで場をコントロールする。

ガラコンサートとしては演目が少なめでちょっと物足りなかったかも。

 

東京春祭ワーグナー・シリーズvol.15「トリスタンとイゾルデ」2024/03/30 東京文化会館

指揮 マレク・ヤノフスキ
管弦楽 NHK交響楽団
合唱 東京オペラシンガーズ

トリスタン スチュアート・スケルト
ゾルデ ビルギッテ・クリステンセン
マルケ王 フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ
クルヴェナール マルクス・アイヒェ
ブランゲーネ ルクサンドラ・ドノーセ
東京春祭ワーグナー・シリーズvol.15「トリスタンとイゾルデ」演奏会形式

座席はほぼ満席。
昨年の東京春音楽祭のトスカが素晴らしかったのに席がガラガラで残念だったのでホッとした。

5時間の長丁場。ワーグナーのオペラを全幕観るのは初めてでしかも演奏会形式とあって、耐えられるか心配だった。終わってみればちゃんと最後まで楽しめた。

仕草も美しく、力強いマレク・ヤノフスキの指揮。コンマスはどこかから連れてきていたのだろうか。
第一幕で指揮者が終わった後の間を大切にしているのが明らかなのだから、フライングで拍手するのはやめてあげたら良いのに。

クルヴェルナールを歌うマルクス・アイヒェが良い。演奏会形式だとちょっとした演技で歌手の実力というか余裕が分かる気がする。
マルケ王も渋くてかっこいい。

第一幕に登場した東京オペラシンガーズも少ない人数なのに迫力があり、良かった。

肝心のトリスタンとイゾルデがちょっとインパクトに欠けたところ。イゾルデは声が聞こえない部分も多く、また席からほとんど見えなかったこともあり物足りなさが残る。
トリスタンのスチュアート・スケルトン、第3幕は調子を上げた様子。それでももうちょっと立って身振りをしながら歌って欲しかった。イゾルデやクルヴェルナールが一生懸命歌いかけているのにどっしりと座って俯いている姿はストーリーに似つかわしくなく、もはや面白いといえる域。
喉の調子が悪いのか水を飲んでいる回数も多かったけれど、それも気になってしまった。

終わった後外に出たら風も心地よく、良い時間だった。

 

 

「パリオペラ座バレエ団マノン」2024/02/18 東京文化会館

マノン リュドミラ・パリエロ
デ・グリュー マルク・モロー
レスコー フランチェスコ・ムーラ
レスコーの愛人 シルヴィア・サン=マルタン

演出 ケネス・マクミラン

指揮 ピエール・デュムソー
演奏 東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団
(パリ・オペラ座バレエ団日本公演2024)

7月にオペラガルニエで観たのと同じキャスト。

マノン、デグリュー、マノンの兄のレスコー、レスコーの愛人。4人それぞれに見せ場があって、何度見ても飽きないと思う。

オーケストラの音が急に大きくなったと感じる場面が多かった。迫力があるのは良いのだけれど、フランスものっぽさが感じられなかったようにも思う...

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「パリオペラ座バレエ団 白鳥の湖」2024/02/11 東京文化会館

オデット/オディール:パク・セウン 
ジークフリート王子:ジェレミー=ルー・ケール
ロットバルト:ジャック・ガストフ

指揮:ヴェロ・ペーン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(NBS パリ・オペラ座バレエ団日本公演2024)

アマンディーヌ・アルビッソンからパク・セウンに配役が変更になった回。
とにかく舞台の登場人物が多くて華やかだった。

演奏は後半に行くにつれてチャイコフスキーらしさが感じられて良かったように思う。

「フアン・ディエゴ・フローレス&プリティ・イェンデオペラ・デュオ・コンサート」2024/02/04 東京文化会館

指揮 ミケーレ・スポッティ
演奏 東京フィルハーモニー交響楽団

オペラ座で強く印象に残ったプリティ・イェンデ。日本に来ることはないだろうなと思っていたけれど、まさかの来日公演。

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フアン・ディエゴ・フローレスとの共演。
彼は調子が良くなかったようで、途中でアナウンス有り。歌っている途中にも咳払いするなど喉の調子がいまいちの様子。
後半の連隊の娘のハイCはどうするのかなと思っていたら、愛の妙薬に曲目が変更された。

フローレス、調子が悪いといってもこれだけ歌えるのかという驚き。舞台を楽しんでいるような余裕ある様子は一流なのだと感じさせる。

なにより素晴らしかったのはプリティ・イェンデ。独壇場といっても良いくらい圧倒的だった。どんどん惹き込まれて、可愛く見えてくる。(実際、後半の赤いドレスは美しかった。)

2人がオペラで歌う姿が日本で観れたらなあいいのになあ。

ウクライナ国立バレエ「ジゼル」2024/01/06 東京文化会館

1月6日のウクライナ国立バレエによるジゼル。夕方のほうの公演。

スタッフ
音楽 A・アラン
振付 ヴィクトル・ヤレメンコ

キャスト
ジゼル オリガ・ゴリッツァ
アルベルト ニキータ・スハルコフ

光籃社 ウクライナ国立バレエ

義援金による新制作舞台と振付で日本初演

昨年オペラのカルメンを観た際にも思ったけれど、全体がなんとも言えないかわいい感じ。

オーケストラがこじんまりしていて物足りなかったのが残念。ジゼルの狂乱の場面などは演出もわかりづらかったけれど、音楽でもう少し盛り上げて欲しかったところ。

それでも、年明けからバレエを観れて贅沢だった。

レザール・フロリサン「ヨハネ受難曲」2023/11/26 東京オペラシティコンサートホール

フランスの古楽器オーケストラ、レザール・フロリサンによるヨハネ受難曲
指揮は創設者のウィリアム・クリスティ

この東京オペラシティでの公演で感じられるのはレザール・フロリサンのほんの魅力の一端でしかないのだろうなと感じさせる、奥深い公演だった。

ウィリアム・クリスティの手の動き含めた身振りが優雅で美しく、合唱と楽器とが溶け合うように感じられる。エヴァンゲリストを除くソロの人たちも出番以外は合唱に加わる。レイチェル・レドモンドのソプラノが個人的にはとても美しくて好きだった。

レザール・フロリサンウィリアム・クリスティによって1979年に設立された古楽器オーケストラ。バロック音楽を中心としたレパートリーを近年はモーツァルトまで広げてきた。
ウィリアム・クリスティの関心の対象である文化遺産や庭と音楽を結びつけ、音楽祭も毎年行っている。

  • レザール・フロリサンは"cultural meeting centre"であるという。その活動は、演奏の環境含め全てを計算して演出しているように思う。
    東京オペラシティの一階席の後ろのほうで、前の人の頭の角度によってはステージがほぼ見えないような環境でしか聴けなかったのが残念だ。


www.youtube.com

シャルトル大聖堂での演奏が公式で紹介されている。こちらは弾き振り。
今年の続きで来年はマタイ受難曲でもやってくれないかなあ。