uの芸術鑑賞日記

コンサートや美術展で思ったことを備忘録として。

「虫めづる日本の人々」サントリー美術館

六本木、サントリー美術館の企画展「虫めづる日本の人々」。7/22から9/18まで。

作品は全て撮影禁止。
暑い日中を避けて夜に行ったおかげで人も少なく、ゆったりと鑑賞できた。

まず最初に展示されていたのがきりぎりす絵巻。
遠目に見ると普通の絵巻物なのだが、よく見ると着物を着た人の顔が虫になっている。不思議と表情も豊かに見えて、可愛らしい。
そして少し進むと伊藤若冲の素絢帖の白黒のコントラストが目を引く。
一番の見どころはポスターにも出ている、同じく伊藤若冲の菜蟲だろうか。知っているような虫から、こんな生き物いたっけ、というようなものまで色々描かれていて観ていて飽きない。

しかし、その他に関して言えば、全体的にとりとめがないという印象。
夏だから虫、というので企画が持ち上がったのだろう。それに合わせて虫に関連するものを集めてきたのだろうけれど、まとまりがない。
和歌に登場する虫、着物や漆器、ガラスなどにデザインされた虫、中国の影響を受けた蝶が入った絵画、デザイン含め浮世絵のなかの虫、さらには博物画に近いものまで。
カニが入っているのもちょっと違和感があったり。

「虫めづる」というのは虫を愛で楽しむ人々なのか、デザインとして愛ずることなのか。
せめてそこだけでもはっきりさせたらもっとテーマが絞り込めて面白い展覧会になったのではないのだろうか。