uの芸術鑑賞日記

コンサートや美術展で思ったことを備忘録として。

太陽劇団「金夢島 L’ÎLE D’OR Kanemu-Jima」 2023/10/21 東京芸術劇場 プレイハウス

東京芸術祭2023のプログラムの一つ、Théâtre du Soleil(太陽劇団)22年ぶりの来日公演。
2021年に日本で初演の予定だったが、新型コロナウイルスにより延期。今回が満を持しての日本公演となる。創設者のアリアーヌ・ムヌーシュキンも来日。

tokyo-festival.jp

舞台はコーネリアの夢の中、日本のような「金夢島」。そこでは市長主導のもと、国際演劇祭の準備が行われている。
様々な国からやってくる演劇人たちに、市長の座をめぐる政治対立、更にはカジノ誘致。それらが入り乱れて話が進んでゆく。

次々と入れ込まれる、パンデミック習近平、香港、ハマス、ブラジルマフィアなどなどの世界情勢。
演者はマスクのようなストッキングのようなものを被っており、表情や顔立ちがほとんど分からない。それら入り乱れる情景が多言語で場面転換しながら次々と演じられていく。そしてその舞台は日本のような、日本でないような、不思議な場所。

3時間以上の舞台。ほぼほぼ意味が分からなかったといっても良いのだけれど、
クセになる面白さのある不思議な舞台だった。
最後は一応まとめのような感じで結末がついているので後味も良かった。

We will meet againの音楽が流れるなか、皆で一斉に能を踊り、その背景には3匹の鶴、というのはシュールで面白かった。この鶴、ちょっとアルベールビルオリンピックの開会式を想起させる。きっとフランス人はこういうのが好きなんだなあ。

olympics.com

すごいと思ったのが、台詞の聞き取りやすさ。大声でしゃべっているわけではないのにしっかりと観客に届く発声。
メイン言語はフランス語だが、多言語での上映。きっと発声が良いのだろう、どの言語も自然で聞き取りやすい。
それと、俳優なのか歌手なのか分からないけれど、歌が素晴らしく綺麗だった。

上演後にはアフタートークも。
熱心な観客が多かったようで、ほとんどの観客が残り、次々と質問が出る。
本番後にもかかわらず観客の質問に饒舌に答えるアリアーヌ・ムヌーシュキン。80歳を超えてなお、声も若くユーモアにも溢れたその人柄も伺いしれて貴重な機会だった。